俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
突然、なずなの被っていた布団が、ほんの少しだけペロッと捲られる。
片目だけがチラリと見える程度まで。
顔を近付けていたため、急な露出で思わず「うぉっ!」と声を出してしまった。
「び、びっくりした…」
「…キスしてくれって言ったんだよ…」
「は…」
…俺の聞き間違いだろうか。
キス…?
布団の隙間からチラリと見えるなずなの目は、うるうるとしている。
「最期に…死ぬ前に、もう一度キスしてくれって、言ったんだよ!」
は…キス?
魚じゃない。接吻だよな。
(………)
接吻?キス?死ぬ前に…?
え?え?え?
…何故!
とは、頭があまりにも真っ白になってしまったため、声に出ず。
口をパクパクさせて、あわあわとしている状態だ。
いや、待って。
何なのこれ。
なずなが俺に?そんなこと頼む?
え?何で?
キスして欲しいって…あ、いやいや何だそれ。
嬉しい…!
…いや、嬉しいことは嬉しいんだけれども。
死ぬ間際にお願いすることそれ?
何で?何で?!
考えれば考えるほど、だいぶ混乱する。
なんて事…!