俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「あ、あの…」
やっと声が出たと思ったが。
なずなの目が見える布団の隙間から、半ギレの震えた声がする。
「…スケベな女と思ったろ!」
「あ…」
「…恋愛でたいして良い思いもしないまま享年15で生涯を終えるなら、死ぬ間際に良い思いしたいと思っただけなんだよ」
「あ、そ…」
「…わかったならもう帰れ。用は済んだろ。帰れ!帰れ帰れ!」
「あっ…!」
そして、布団はパタッと閉じられ。
今度は別の隙間から片手だけが出てきて、しっしっと追い払われる。
そしてまた、なずなは布団の中に潜り込んでしまった。
「…肉は置いていけ!」
最後にそう怒鳴り散らした後、そのまま静かになってしまった。
え…。
これ…どう捉えるべきなんだ?
真っ白になった頭だったが、少しずつ落ち着いてくると。
今度は…うるさいほど、胸が高鳴ってくる。
なずなが俺とキスしたいって…。
俺、自惚れてもいいのか…?