俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
いろいろ物申したいことはあるが、ここは友人達の手前。
今は我慢…!
「ご友人の方々、ようこそお越し下さいました。私めは橘家の執事を務めております、稲生忠晴と申します。どうかお見知り置きを」
ペコリと頭を下げる忠晴に、引き続き絶句するヤツもいれば、「あ、はい…」と慌てて頭を下げ返すヤツもいる。
忠晴よ。みんなドン引きしてるぞ。
堅苦しい挨拶いらんって言ったはず。あれだけ言ったはずなのに…!
しかし。
「執事だ…」
…ん?
後ろの方で、ボソッと呟く声がした。
振り返ると、その声の主はチカだったようだ。
チカは、ふるふると手から体を震わせて、忠晴を見ている。
「…本物の、執事だあぁぁっ!俺、初めて!初めて見た!うぉぉぉっ!」
え?!何でおまえも興奮?!
呆気に取られていると、チカはスマホを取り出して、起動させながらダッシュで忠晴に駆け寄る。
な、何だ?!