記憶シュレッダー
でも、特別寂しいと思って過ごしたことはなかった。


祖父はできるだけ家にいてくれたし、近所のイトコが毎日のように遊びに来てくれたから。


時にはイトコのお母さん、あたしにとっては伯母さんが母親みたいに接してくれた。


小学校時代にはどうしてあたしにはお父さんとお母さんがいないの!?


なんて泣いたこともあるけれど、今はその頃の自分を思い出して恥ずかしいと感じてしまう。


そのくらい、あたしの周りは優しい人で溢れていた。


「じゃ、あたし帰るね。2人ともバイバイ」


あたしは由香里と蒔絵に手を振り、教室を出たのだった。
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