記憶シュレッダー
なにか様子がおかしい。


お祖父ちゃんは本当に眠っているだけなんだろうか?


ベッドに近づいて様子を確認しても、よくわからない。


「敦子、これどういうこと?」


蒔絵が怪訝そうな表情をこちらへ向ける。


「ただ眠っているだけだと思う」


そう返事をしたときだった。


祖父がゆっくりと目を開いたのだ。


ハッとして顔を近づける。


「お祖父ちゃん、敦子だよ!」


声をかけると祖父はどうにかこちらへ視線を向けた。


その様子が痛々しく見えて逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。


どうして?


ずっと元気だったはずだよね?
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