記憶シュレッダー
記憶にフェルターがかかっているかのようにボヤけていて、ピントが合わない。


思いだそうとすればするほど、頭が痛くなる。


「その説明を……もう１度、お願します」


あたしは震える声で言った。


担当医は怪訝そうな顔を浮かべたが、ゆっくりと説明し始めた……。


「わかりやすく説明しますね。大川さんは一旦意識を取り戻しましたが、その夜再び血管に血栓という詰まりを見つけたんです。この血管の詰まりが原因で今は予断を許さない状態にあります。

血液をサラサラにする薬を投与していますが、そうすると血管が破れたときに出血が止まらなくなってしまうんです。色々なリスクを考慮した上で、治療をすることになりました」


担当医の説明が右から左へと流れていく。


あたしはすでにこの説明を聞いているはずなんだ。


先生の話を聞けば聞くほど、記憶にない光景をリアルの想像することができた。
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