記憶シュレッダー
その日も友人はワシを釣りに連れ出してくれる予定にしていた。


だが、急な仕事が入ってしまい、友人は1人で釣り舟に乗って行ってしまった。


夜釣りで、周囲にひと気はなかったらしい。


友人1人が乗った船は岸から遠く離れ、その場所で嵐に会った。


天気予報では小雨が降る程度だと言っていたようだけれど、その日に限って予報が外れてしまったのだ。


友人が乗った小型の船は転覆し、友人は亡骸となって戻ってきた。


思い出し、涙が滲んできた。


手の甲で涙をぬぐい、鼻をすする。


思えば、友人が亡くなってからあのリサイクルショップに行く回数が増えた気がする。


なにか新しい趣味を見つけて、気を紛らわしたいのかもしれない。
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