記憶シュレッダー
「なんだ、現役じゃないか」


客はこのシュレッダーを置いて帰ったというから、てっきりジャンク品だと思っていた。


すべての書類が切り刻まれた時、不思議な感覚が胸に広がっていく。


「なんだこの感覚は……?」


なにかが記憶の中からスッポリと抜け落ちてしまったような感覚。


だけど、どこかスッキリとした気分だ。


ワシはしばらくその奇妙な気分に魅入られて、その場から動くことができなくなったのだった。
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