記憶シュレッダー
さっき鮮血を浴びたせいじゃない。


もっとドロドロとした、気分が悪くなる匂いがしている。


あたしは吐き気を感じてトイレに駆け込んだ。


あまり食べていなかったから、胃液だけを吐き出す。


それでも気分の悪さは続いていて、廊下に倒れこんだ。


開け放しているドアの向こう、リビングを見るとボストンバッグが見える。


そこからジワリと血が流れ出しているのを見つけた。


あたしはハッと息をのんで脱衣所へ駆け込み、バスタオルを持ってリビングへと戻った。


カバンを開けると、女の子の足がある。


再びこみ上げてきた吐き気をどうにか押し込めて、バスタオルでそれを包み込んだ。


「どうにかしなきゃ。これ、どうにかしなきゃ!」


パニックになりそうな頭をフル回転させる。
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