記憶シュレッダー
あたしは押入れの中に首を突っ込み、確認する。


上の段にはお祖父ちゃんの衣類。


下の段には段ボール箱などが入れられている。


こっちもきっとお祖父ちゃんの私物だろう。


でも、確かに異臭を感じるのだ。


あたしはまず上の段から確認した。


カラーボックスを開けると、祖父の衣類や新しい下着が出てくる。


いつか使うつもりで購入したものを、ここに入れておいたのだろう。


祖父がこれを使うことはもう二度となくなってしまったのだ。


暗い気持ちになりそうになりながらも、更に上の段を調べる。


出てくるのは祖父が若いころに聞いていたレコードや、好きだった女優の写真集などだ。


上の段には臭いの原因となるものはなさそうだ。


ホッと胸をなでおろし、下の段を見つめる。
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