記憶シュレッダー
あたしはそっとダンボールに近づいて、その蓋を開けた。


瞬間、数匹のハエが飛び立って悲鳴を上げそうになった。


どうにか箱の中を覗き込む。


目に飛び込んできたのは子供たちの手足だった。


断面が下になるように、奇麗に並べられている。


知らない人が見ればただのマネキンの手足だと思ったかもしれない。


血の気がなくなった青白い子供たちの手足は、とても本物だとは思えなかった。


「あぁ……」


あたしは気の抜けた声を出してその場に座り込んだ。


今までの猟奇的事件の犯人は。


子供たちの四肢を奪った犯人は……あたし?


目の前の光景を見ると誰でもそう感じたと思う。


実際にあたしは今日も1人の女の子を襲ってきたのだ。


切断した女の子の足はバスタオルに包んでここまで持ってきた。
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