記憶シュレッダー
それは変えられない事実だ。


あたしはフラリと立ち上がり、シュレッダーを見つめた。


あたしは何人もの子供たちを襲ってきた。


そしてその度にこのシュレッダーで記憶を消してきた。


きっとそれが正しい。


それが現実だったんだ。


「なんで……」


あたしは呟き、震える手でカナヅチを握り締めた。


「なんでこんなものがあるの……!!」


犯罪に手を染めたのは決してシュレッダーのせいではない。


だけど、あたしが自分の罪を忘れさえしなければ。


あたしがこのシュレッダーを使ってさえいなければ。


もっと早くに事件が収束していたかもしれない。


忘れてしまったからこそ、あたしは何度も何度も何度も何度も、同じ犯罪を繰り返してしまったのだ。
< 180 / 213 >

この作品をシェア

pagetop