記憶シュレッダー
そう思い、また金槌を振り上げる。


そして思いっきり刃に向けて振り下ろした。


グチャッ!


それは金属の手ごたえではなかった。


まるで人間の肉を砕いているような、気持ちの悪い感触。


それでもあたしはカナヅチを振り上げる。


グチャッグチャッ。


刃は徐々に変形していき、使い物にならなくなっていく。


シュレッダーが完全に形を失ったとき、なぜかあたしは泣いていた。


金槌から手を離し、その場に座り込む。


途端に忘れていた記憶が津波のように襲いかかってくる。


「ああああああ!!」


あたしは絶叫し、その場にうずくまったのだった。
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