記憶シュレッダー
「由香里も勉強できるし、蒔絵も希望校に行くために頑張ってるんだもん。あたしだって頑張らないと」


友人たちが努力している間に、1人だけサボるわけにはいかない。


それじゃなくても、もうすでに出遅れているのだ。


サボっていれば、たちまちみんなから置いてけぼりを食らってしまうだろう。


そのため、あたしの焦りは強かったのだ。


そして、その焦りに拍車をかけるような出来事が起こる。


「お祖父ちゃんは仕事?」


それは担任の先生との三者面談の時だった。


あいにく、祖父は今日も仕事で来ることはできなかった。


でも、二者面談でも問題ないと言われていたはずだ。


「はい」


あたしは素直に頷く。
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