記憶シュレッダー
そんな愛情たっぷりの朝食を食べ終える頃、テレビニュースは別の情報を流し始めていた。


「○○町では小学生低学年を狙った猟奇的事件が多発しています」


その言葉にあたしは自然と顔をしかめていた。


事件の舞台になっている○○町とは、あたしが暮らしている町だからだ。


この事件が起こった頃から、この町ではみんな落着きがなくなったように感じられる。


「犯人はひとりでいる子供を誘拐し、手足のいずれかひとつを切断して持ち去っています。被害者の子供たちは一様に目を塞がれていて、犯人を見ておらず……」


「この町の事件とは思えないよね」


「そうだなぁ。早く犯人が捕まるといいなぁ」


祖父はのんびりとした口調でそう言い、ゆっくりと目を閉じてコーヒーを飲んだのだった。
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