記憶シュレッダー
元々スプラッターなどの映画が好きだったあたしは、その素質が備わっていたのだ。


弱い相手が泣いても暴れても押さえつけ、無残に惨殺する。


その冷酷な心を持っていたのだ。


作品を見ながらも、いつか自分が猟奇的犯罪者側になるんじゃないかなんて、考えたこともなかった。


ごく一般的なファンの1人に過ぎなかった。


それが、様々な事情が重なり合い、心が病み、ついに発症してしまった。


そう、これは病気みたいなものだ。


きっと誰にでも起こりえること。


そしてそれが起こったらどうなるか……。


本当の自分を取り戻すことができる。


少なくてもあたしはそうだった。


ここまでスラスラとテキストを解けるようになったもの、ストレスを忘れて元のあたしに戻ったからだ。


本性を見せることは決して悪いことだけじゃない……。


あたしは自分のしたことを正当化して、またテキストに視線を落としたのだった。
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