記憶シュレッダー
☆☆☆

その夜、祖父が寝静まったのを確認してから、あたしはバッグの中身を確認した。


ちゃんとあの子の腕が入っている。


でもこの腕をこのままにはしておけない。


腐敗するともったいないから、ドライアイスか何かを用意して保管しておくつもりだった。


それに、早くバッグ以外の場所へ移動させないと、次の仕事ができない。


そう考えて、あたしは笑みを浮かべた。


今日やったことが自分の中で《仕事》になっていることがどこか嬉しかった。


お金を得られるわけではないけれど、心の平穏を取り戻すことができる。


その後も、あたしは何度も何度もあの公園やひと気のない道路で小さな子供を誘拐した。


時には近くに多目的トイレがない時もあった。


そういう時には近くの林へ連れていき、四肢のどれかを切断した。


女の子よりも男の子の方が少しだけ手こずった。


かなり暴れるからだ


そういうときは体を固定するより先に、手足のどれか包丁で切りつけた。


すると途端に糸が切れた操り人形のように大人しくなるのだ。


ロープで体を固定するのは、そのあとだった。
< 202 / 213 >

この作品をシェア

pagetop