記憶シュレッダー
何件も何件も事件を重ねると、さすがに手際が良くなってきた。


次になにをするのか考える前に体が動き、バッグの中から必要なものを取り出している。


そんなことを繰り返していた時、祖父が病気で倒れてしまったのだ。


あたしは自分の部屋に隠してあった子供たちの手足をダンボール箱に入れ、その中にドライアイスを詰めた。


子供たちの手足はどれも青白く、まるで生気など感じられない。


断面を下にしてダンボールの中に並べてみると、まるでマネキンのようでおかしくなった。


被害者の子供たちは今も四肢のどれかを失った悲しみに泣き崩れているのだろうか。


そしてあたしは段ボール箱を、誰も入らなくなった祖父の部屋の押し入れに隠したのだ。


ここならしばらく見つかることはないだろう。


そう思い、部屋を出ようとした時だった。


「嫌なことはぜ~んぶ消しちゃえばいいんだよ!」


あの声が聞こえた。
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