記憶シュレッダー
勉強が苦手なこととか、今回のお祖父ちゃんの入院のこととか。


考えながら、あたしはフラフラと音が聞こえてきた部屋の隅へと移動してきていた。


どこからあの声が聞こえて来たんだろう?


周囲を見回してみても目につくものはなにもない。


やっぱりただの気のせいか……。


そう思った時だった。


コツンッと足がなにかにぶつかり、視線を向けた。


そこにあったのは白い布にかけられたなにかだった。


なにが隠されているのかわからないが、布は長方形の形に膨らんでいる。


あたしはそっと身をかがめて布を引いた。


布の下から出てきたものはシュレッダーだった。
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