記憶シュレッダー
「今日もお祖父ちゃんのお見舞いに行って、それから勉強するから大丈夫だよ」


あたしは無理やり笑顔を浮かべて答えた。


試験の時だけ勉強したって意味はないんだし、今回の結果が悪くてもまだまだ頑張る時間は残されている。


「敦子、あたしたちにできることがあったらなんでも言ってよ?」


蒔絵が真剣な表情で言ってきた。


「ありがとう」


こうして学校で友達と会話をしているだけで、随分と気は紛れる。


それに、試験を変わってなんて言えないし、お見舞いにだって自分で行きたい。


結局、すべて自分で頑張るしかないのだ。


「でも、大丈夫だよ」


あたしは大きく息を吸い込み、そう言ったのだった。
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