記憶シュレッダー
だけど浩太を家に上げるのは小学生以来になる。


今はもうお互い中学生だし。


しかも今はお祖父ちゃんがいないのだ。


あたしは浩太のことが好きだし……。


そう、一番の問題はそこだった。


あたしは浩太のことが好きだから、どうしても意識してしまうのだ。


2人きりなるとどんな会話をしていいかわからなくなってしまう。


だけど、これ以上返事を待たせるわけにもいかなくて、焦りは増していく。


その時だった。


玄関のチャイムが鳴ったのだ。


驚いたあたしは「ひゃっ!?」と一度飛び上り、慌てて玄関へと走った。


「はい……?」


鍵を開ける前に声をかける。


「敦子? 俺、浩太だけど」
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