記憶シュレッダー
そう言ったきり、なんとなく2人で無言になってしまった。


テレビの音だけが、静かな室内に聞こえてきている。


「一人でこの家にいるの、不安だっただろう?」


不意に浩太が真剣な表情で言った。


「うん……まぁね……」


お祖父ちゃんが入院した日、ひとりでこの家にいると胸にポッカリと大きな穴が空いた気分になった。


いつも一緒にいた人が突然いなくなる恐怖を、肌身に感じた瞬間だった。


思い出しただけでも怖くて、強く身震いをする。
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