記憶シュレッダー
「浩……太?」


「大丈夫。お前はひとりじゃないから」


浩太の言葉に不覚にも胸が熱くなり、涙が滲んできた。


「そ……そんなのわかってるし」


強がりを言っても、声が震えた。


本当は怖かったんだ。


お祖父ちゃんがいなくなったらどうしよう。


そんな恐怖がぬぐえないままだったんだ。


「大丈夫大丈夫」


浩太はまだポンポンと頭をなでてくる。


その優しさが胸に染み込んできて、ついに涙が出てきてしまった。


「怖かった。お祖父ちゃんがいなくなるかもしれないと思って、怖かった!」


「うん。わかるよ」
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