記憶シュレッダー
「由香里、結果どうだった?」


「うん。ギリギリ」


そう言ってほほ笑み、試験結果を見せてくる。


そこにはB判定と書かれていた。


由香里はほぼ合格間違いなしのラインにいる。


それを知ると余計に焦りが生まれてきた。


このままじゃ本当にあたしは取り残されてしまう!


「敦子、顔怖いけど大丈夫?」


「うん……」


由香里の気配りすら、今はうっとおしいと感じてしまう。


だいたい、自分より勉強ができないとわかっているあたしに向かって、どうして試験結果を見せてきたんだろう。


嫌みにしか感じられなかった。


あたしは思わず由香里を睨みつけていた。


「由香里は入学確定じゃん。おめでとう」


そんなつもりはなかったのに、あたしは自分の言葉に嫌みをのせてそう言ったのだった。
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