最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
プロローグ
四月下旬の金曜日、午後六時のドラッグストアにて。
どことなく気まずい雰囲気が漂うように感じる棚の前に立つ私は、そこに並ぶ商品ではなくスマホの画面を凝視している。映し出されているのはアプリのカレンダー、しかも三月だ。
毎月来るべきはずのものが来ていない。最後に来たのはいつだっけ?と、普段はあまり気にしていない日にちを、必死に記憶を遡らせて確認している。ちなみに、こうするのは本日三度目。
「……やっぱり遅れてる、よね」
何度確認しても結果は同じで、ついボソッとひとりごちた。幸い、周りには誰もいない。
もうとっくに生理になっていていいはずなのに、予定日から一週間は経っている。やはりこれを買うしかないようだ。
一度天を仰ぎ、はあ、と大きなため息を吐き出した。信じられない気持ちと、どうしようという不安で一杯だが、とにかくはっきりさせなければいけない。
緊張しつつも覚悟を決め、妊娠検査薬を初めて手に取った。