最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

お腹も少し膨らんできた七月中旬の今日、ロッカーに私物を入れて席に戻ろうとしたとき、ちょうどオフィスに荷物が届けられたので私が対応する。

届いたのは、A4のコピー用紙が入った段ボール箱。これ重いんだよな……と思いながら伝票にサインをした直後、誰かが箱を受け取ってくれた。

ぱっと顔を上げると、瀬在さんが紳士的な笑みを浮かべている。さらりとしたショートヘアに中性的な目鼻立ちは、今日も変わらず麗しい。


「いいですよ、僕が運びますから」
「瀬在さん……! すみません、ありがとうございます」
「遠慮なく頼ってくださいね。でないと、僕が社長にシメられるので」


気遣いに感謝しつつ、茶化す彼に笑いがこぼれた。

麻那たちと同様に、瀬在さんも早くから私の妊娠を知っていて、さりげなくサポートしてくれている。対応までもが王子様感満載なのだ。

外出していた彼は、腕に資料やサンプルなどが入っているらしき紙袋とビジネスバッグをかけているので、私はこちらを持たせてもらうことにした。

オフィスの片隅にあるコピー機まで一緒に歩きながら、瀬在さんが問いかける。
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