最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
離婚届の行方は予測不能な六カ月

妊娠六カ月に入り、産婦人科に通うのもすっかり慣れたが、エコー検査ではだんだん人間らしい形に成長していくわが子に、毎回感動している。

特に今日は、初めて顔が見ることができて興奮してしまった。さらに、前回聞きそびれた性別を教えてもらったので、エコー中は終始ニヤけていたと思う。

診察を終えたあと、先生は相変わらず母性溢れる笑顔でまとめの話をする。


「赤ちゃんの大きさも標準ですし、順調ですよ。性別はたぶん女の子……だと思いますけど、隠れちゃってる場合もあるからねぇ」


〝隠れちゃってる〟というのは、男の子にしかついていないアレのことか。女の子のほうが性別がわかりづらいと聞いたことはあるけど、本当なんだな。

でもおそらく、女の子の可能性が高いはず。慧さんに似たら、将来クールビューティーな女の子になりそう。

……って考えていると、なぜか慧さんの美しい女装姿を妄想して萌えてしまうからやめよう。

思考がおかしくなっている私に、先生が「また次回の検診でよく見てみましょう」と声をかける。妙な妄想を掻き消し、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
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