最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

その日の夜、夕飯を食べたあとに慧さんと並んでソファに座り、検診でもらったエコー写真を見せた。

いろんな角度から眺めている彼に、「ここが目で、ここが鼻」と指差してみせると、まじまじと見つめて感心したように言う。


「本当だ、しっかり顔になってる」
「もうこんなに成長したんですね。鼻をこすったりもしてたんですよ」
「すごいな。見たかった……」


無念そうに呟くので、私はクスクスと笑った。

以前から慧さんは、一緒に検診に行って実際にエコーを見てみたいと言っているものの、忙しくてなかなか都合が合わない。出産時も立ち会いを希望しているけれど、それも叶うかどうか。

でも、私はその気持ちだけで嬉しいんですよ……と思っていると、彼の大きな手が丸みを帯びたお腹に触れる。


「俺も付き添えたときは、また顔を見せてくれよ」


彼が赤ちゃんに向けて声をかけた次の瞬間、お腹の中からぐにっと押される感覚がした。

ふたりで目を見合わせ、「動いた!」と声をそろえる。慧さんが触るときはなぜか胎動を感じないことが多いので、珍しくタイミングが合ってふたりして喜んだ。
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