最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
医務室のほうへ歩いていく哀愁が漂う背中に「高海」と呼びかけ、正直な声を投げかける。


「私は無理なんてしてない。慧さんと、この子と生きていきたいって、心から思ってるよ」


嘘偽りのない笑みを浮かべて言うと、ゆっくりこちらを振り返った高海は、切なげな表情で口角を上げて頷く。


「わかってるって。ただ、俺が生半可な気持ちじゃないってことを伝えたかっただけ」


いくらかスッキリしたような調子で返した彼は、「ちゃんと薬もらってくから、先に戻ってて」と軽く手を振った。

去っていく彼を見送りながら、申し訳なさと、今後どう接したらいいものかと複雑な気持ちでいっぱいになる。高海とは仲のいい同期のままでいたいけれど……。

乱れた鼓動も完全には治まらず、私はしばしその場に立ち尽くしていた。


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