最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
求愛に惑う七カ月
高海に衝撃の告白をされてからというもの、私たちの間にはずっと気まずい空気が漂っている。
高海は前と変わらない調子で気さくに話してくるものの、その頻度は明らかに減った。ランチも、もう何週間も一緒に食べていない。
私もどうにも意識してしまって、うまく目を見られないほど。視線が合っただけで、エレベーターの中で感情を溢れさせた彼の表情や声を思い出してしまうから。
今も、とある案件のアニメーションについて相談していたのだが、必要のない会話はせずに終了した。
その様子を見ていた麻那と、休憩するためにセルフのカフェスペースに向かうと、彼女はカフェラテのボタンを押して言う。
「ひとちゃん、まだギクシャクしてる。でも、それくらい高海くんの告白は威力があったってことか。あなどれないわ~オカン男子」
感心している麻那に、私は苦笑いしながらハーブティーを用意する。
彼女は、私が高海に告白されたと打ち明けたときも、驚くより感心していた。実は、だいぶ前から彼の恋心に気づいていたというのだ。