最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
お礼を言った増田部長は、さっそく高海のもとへ向かうことにしたらしく腰を上げた。
私も一緒に制作部のほうへ戻るが、話題が高海とのことになってしまって、ものすごく気まずい。
「やっぱり松岡さんは高海くんのことよく知ってるんだね。同期なんだっけ」
「まあ、はい」
「仲よしでいいね。いつだったか、肩揉んでもらってたときあったでしょ」
へらりと笑って相づちを打っていた私は、タイムリーに肩揉みの話を出されてギクリとした。今となっては後悔する出来事だ……。
うなだれ気味に「見ていましたか……」と心の声を漏らすと、部長はクスクスと笑う。
「旦那さんとは滅多に話さないから、高海くんのほうが彼氏みたいに見えちゃったよ」
私にとってはいただけないひとことが冗談交じりに口にされ、口の端を引きつらせた、次の瞬間だ。
「一絵」
どことなく威圧感のある低い声に呼ばれ、勢いよく顔を上げた私は目を見張った。
目の前にいるのは、決して機嫌がいいとは思えない無表情の旦那様。最近はほとんど見ることがなかった、冷たさを感じる瞳でこちらを見下ろしている。
私も一緒に制作部のほうへ戻るが、話題が高海とのことになってしまって、ものすごく気まずい。
「やっぱり松岡さんは高海くんのことよく知ってるんだね。同期なんだっけ」
「まあ、はい」
「仲よしでいいね。いつだったか、肩揉んでもらってたときあったでしょ」
へらりと笑って相づちを打っていた私は、タイムリーに肩揉みの話を出されてギクリとした。今となっては後悔する出来事だ……。
うなだれ気味に「見ていましたか……」と心の声を漏らすと、部長はクスクスと笑う。
「旦那さんとは滅多に話さないから、高海くんのほうが彼氏みたいに見えちゃったよ」
私にとってはいただけないひとことが冗談交じりに口にされ、口の端を引きつらせた、次の瞬間だ。
「一絵」
どことなく威圧感のある低い声に呼ばれ、勢いよく顔を上げた私は目を見張った。
目の前にいるのは、決して機嫌がいいとは思えない無表情の旦那様。最近はほとんど見ることがなかった、冷たさを感じる瞳でこちらを見下ろしている。