最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
しかし、子宮口とやらが全開になるまであと少しらしい。耐え続ける一絵の手を握ることしかできない自分に歯がゆさを感じていると、彼女は痛みが引いている間にこんなことを言い出す。
「慧さん……無事生まれたら、焼肉、食べに行きましょ……」
こんなときに食べ物の話かと、ほんの少しだけ緊張も口元も緩む。
「ああ、焼肉でもなんでも連れていってやる」
「私が、しっかりお肉焼くから、心配しないで」
荒い呼吸をしながら言われた言葉に、ドキリと心臓が波打った。
一絵が伝えたいのは、自分が食べたいのではなく、色弱者の俺にも連れていってあげたいということなのか?
「お寿司も、ウニとわさびを間違えないように、私が見てる、から……っ!」
また痛みが襲ってきたらしく、「ううぅぅ」と耐える。力一杯、俺の手を握ってくる彼女が心配でたまらず、とりあえず宥める。
「わかったから、しゃべらなくていい」
「し、しゃべってたほうが、気が紛れるんで……」
ゼーゼーと肩で息をする一絵に、助産師の女性が「畔上さん、もうすぐいきんでいいから集中!」とツッコんだ。
しかし、彼女はまだ話し続ける。
「慧さん……無事生まれたら、焼肉、食べに行きましょ……」
こんなときに食べ物の話かと、ほんの少しだけ緊張も口元も緩む。
「ああ、焼肉でもなんでも連れていってやる」
「私が、しっかりお肉焼くから、心配しないで」
荒い呼吸をしながら言われた言葉に、ドキリと心臓が波打った。
一絵が伝えたいのは、自分が食べたいのではなく、色弱者の俺にも連れていってあげたいということなのか?
「お寿司も、ウニとわさびを間違えないように、私が見てる、から……っ!」
また痛みが襲ってきたらしく、「ううぅぅ」と耐える。力一杯、俺の手を握ってくる彼女が心配でたまらず、とりあえず宥める。
「わかったから、しゃべらなくていい」
「し、しゃべってたほうが、気が紛れるんで……」
ゼーゼーと肩で息をする一絵に、助産師の女性が「畔上さん、もうすぐいきんでいいから集中!」とツッコんだ。
しかし、彼女はまだ話し続ける。