最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
* * *
──私たちに家族が増えた日のことは、毎年同じ日に素敵な思い出話として語るようになった。
一週間後に三年目を迎えようとしている今日は、慧さんが運転する車で彼の実家に向かっているところ。
後部座席のチャイルドシートには、娘の〝いろは〟がぬいぐるみで遊びながら座っている。細くて柔らかな長い髪は、不器用なりに試行錯誤して編み込みにしてあげた。
もうすぐ三歳になる彼女はお絵かきが大好きで、絵の才能は慧さんに似てほしいと切実に願う。
もうひとり隣にいたら、いろはももっとお出かけが楽しくなるかな。なんて漠然と思いながら、「にゃんたん、にゃんたん」と猫のぬいぐるみに話しかけている彼女に声をかける。
「いろは、皆に会ったらご挨拶ね」
「うん! じーじとねー、ばーばとねー……んーと」
もうひとりの名前が思い出せないらしいので、「ゆいちゃん、だよ」と教えてあげた。
今日は結子さんが帰国していて、いろはと会わせてあげられる。小学生にして王子様イケメン街道まっしぐらの息子くんも連れてきているそうなので、目一杯遊んでくれるだろう。
──私たちに家族が増えた日のことは、毎年同じ日に素敵な思い出話として語るようになった。
一週間後に三年目を迎えようとしている今日は、慧さんが運転する車で彼の実家に向かっているところ。
後部座席のチャイルドシートには、娘の〝いろは〟がぬいぐるみで遊びながら座っている。細くて柔らかな長い髪は、不器用なりに試行錯誤して編み込みにしてあげた。
もうすぐ三歳になる彼女はお絵かきが大好きで、絵の才能は慧さんに似てほしいと切実に願う。
もうひとり隣にいたら、いろはももっとお出かけが楽しくなるかな。なんて漠然と思いながら、「にゃんたん、にゃんたん」と猫のぬいぐるみに話しかけている彼女に声をかける。
「いろは、皆に会ったらご挨拶ね」
「うん! じーじとねー、ばーばとねー……んーと」
もうひとりの名前が思い出せないらしいので、「ゆいちゃん、だよ」と教えてあげた。
今日は結子さんが帰国していて、いろはと会わせてあげられる。小学生にして王子様イケメン街道まっしぐらの息子くんも連れてきているそうなので、目一杯遊んでくれるだろう。