最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
「いい時間になったし、だいたい全部見られましたし。それにしても、急に寒くなってきましたねぇ」
心臓はまだドクドクと大きな音を立てているものの、何事もなかったかのようにペラペラとしゃべりながら、出口方面に向かって早足で歩き始める私。
慧さんは隣に並んで、やや困った様子の声を投げかける。
「おい、一絵」
「夕飯どうしましょうか。あんまりお腹空かないなぁ。お昼の時間が遅かったし、食べすぎちゃったからなー」
「お前、『まだいける』って言ってただろうが……」
ボソッと入れられるツッコミも気にせず、私はひとりしゃべり続ける。そのうち慧さんは話しかけるのを諦めたようで、深いため息を吐き出していた。
ああ、私は本当にバカだ。
彼に好意がないことをはっきり知ったほうが、もう悩まずに離婚できるはずなのに。矛盾してばかりの自分が心底嫌になる。
だいぶ辺りが暗くなってイルミネーションがますます綺麗に輝く中、私はあっという間に冷たくなった手をぎゅっと握りしめた。
心臓はまだドクドクと大きな音を立てているものの、何事もなかったかのようにペラペラとしゃべりながら、出口方面に向かって早足で歩き始める私。
慧さんは隣に並んで、やや困った様子の声を投げかける。
「おい、一絵」
「夕飯どうしましょうか。あんまりお腹空かないなぁ。お昼の時間が遅かったし、食べすぎちゃったからなー」
「お前、『まだいける』って言ってただろうが……」
ボソッと入れられるツッコミも気にせず、私はひとりしゃべり続ける。そのうち慧さんは話しかけるのを諦めたようで、深いため息を吐き出していた。
ああ、私は本当にバカだ。
彼に好意がないことをはっきり知ったほうが、もう悩まずに離婚できるはずなのに。矛盾してばかりの自分が心底嫌になる。
だいぶ辺りが暗くなってイルミネーションがますます綺麗に輝く中、私はあっという間に冷たくなった手をぎゅっと握りしめた。