最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
まさかまさかの可能性が浮上してから上の空になってしまったが、幸いこの日はもう重要な案件は残っていなかったため、問題なく仕事を終えることができた。
あれから麻那と話して、とりあえず検査したほうがいいという結論はすぐに出たので、帰宅途中にドラッグストアへ寄った。
そこへ向かう道中で改めてカレンダーを見て、検査薬を買う直前にも三度目の確認をしたが、やはり遅れているのは違いない。
大きな不安に押し潰されそうになるのを必死に堪え、意を決して検査薬を買い、マンションに帰ってすぐにトイレに直行した。
心臓はわずらわしいほど大きく鳴り、手が震える。検査は簡単で、呆気なく事実を示す。
──結果は、陽性。
くっきりと水色の線が浮かぶスティックをリビングのローテーブルの上に置き、ソファに座った私は呆然としながらも、お腹にそっと手を当ててみた。
ここにいるんだ……私と慧さんの赤ちゃんが。確定はしていないけれど、可能性は限りなく高い。
「どうしよう……」
ぽつりと本音がこぼれた。思わず口にしてしまった第一声がこれなんて、赤ちゃんへの罪悪感でいっぱいになる。