最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
そうしてまたソファに座り、ただぼんやりと物思いに耽っていたときだ。テーブルに置いたスマホが鳴り始め、着信を知らせる。
時刻は午後十時。こんな時間に誰だろうと、怪訝にしつつスマホを手に取った私は目を見張った。
「慧さん……?」
着信の相手は、出張先の大阪にいるであろう旦那様だ。名前を見た途端、心臓がドクンと重い音を立てる。
一瞬ためらったものの、彼から電話がかかってくることは滅多にないので、なにか大事な用かもしれないと思い、通話ボタンをタップした。
「はい」
『一絵、起きていたか』
思いのほか柔らかな声が耳に届き、問題が起こったわけではなさそうだと直感する。だとしたらなんの用だろう。
「まだ十時ですからね。どうしたんですか?」
『別に……なにも用事はない。ただ、なんとなく声を聞きたくなっただけ』
予想外の言葉が返ってきて、胸がきゅっと締めつけられた。慧さんにしては珍しい、なにげなくて単純な理由が、とても嬉しい。
一時だけ癒された気分で、ずっと強張っていた表情を緩め、たわいない会話をする。
時刻は午後十時。こんな時間に誰だろうと、怪訝にしつつスマホを手に取った私は目を見張った。
「慧さん……?」
着信の相手は、出張先の大阪にいるであろう旦那様だ。名前を見た途端、心臓がドクンと重い音を立てる。
一瞬ためらったものの、彼から電話がかかってくることは滅多にないので、なにか大事な用かもしれないと思い、通話ボタンをタップした。
「はい」
『一絵、起きていたか』
思いのほか柔らかな声が耳に届き、問題が起こったわけではなさそうだと直感する。だとしたらなんの用だろう。
「まだ十時ですからね。どうしたんですか?」
『別に……なにも用事はない。ただ、なんとなく声を聞きたくなっただけ』
予想外の言葉が返ってきて、胸がきゅっと締めつけられた。慧さんにしては珍しい、なにげなくて単純な理由が、とても嬉しい。
一時だけ癒された気分で、ずっと強張っていた表情を緩め、たわいない会話をする。