最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
まずは明日、産婦人科へ行って正確な診断をしてもらおう。話はそれからだ。

〝よし〟と心の中で気合を入れ、寝室に向かうために腰を上げる。自分がやるべきことが明確になると、当然不安はあるものの、いくらかスッキリした気持ちでベッドに入ることができた。

 *

翌日、午後に半休をもらって個人病院の産婦人科へ向かった。仕事のほうは、麻那ができる範囲でカバーすると言ってくれたので、ありがたくお願いして。

緊張気味に中へ入ると、ホテルのように綺麗かつ落ち着いた雰囲気でちょっぴり驚いた。受付をして問診票を記入し、採尿をしてから待合室のソファに座って順番を待つ。

周りにいるのはお腹が大きな妊婦さんばかり。皆、赤ちゃんを待ち望んで授かった人たちなんだろうか。手放しで喜べない私は、なんだか場違いのような気がしてくる。

複雑な気分で待つこと数十分、名前が呼ばれていよいよ診察室に入った。

下着を脱いで診察台に座ると、それが動いて足を開かれる。なんとなく知識はあったけれど、恥ずかしいし気まずいしで、ひとり目を泳がせていた。
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