最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
「君も、この子も失いたくない」


ようやく本心を伝えると、俺を映す綺麗な瞳にみるみる涙が浮かんだ。

一絵も我慢していたのか、本音を吐露し始める。「ごめんなさい」と言われて一瞬血の気が引いたが、どうやら俺と同じく後悔していたらしい。


「慧さんと、この子と生きていきたい」


涙ながらにそう言った彼女に、愛しさが込み上げる。そして、一緒にいる選択をしてくれたことで、心から安堵した。

細くて柔らかい身体を再び優しく抱きしめ、ぬくもりを分け合う。

妊娠がわかって、きっと不安でいっぱいだっただろう。もっと早く気持ちを伝えておけば、そんなふうにさせずに済んだかもしれない。

でも、いい加減に後悔するのはやめて、反省点を未来の糧にしよう。

この腕の中にある宝物は、もう二度と離さない。

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