独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「もしかして、先輩ナースにいじめられてる?」
旭が心配で、思わず尋ねる。幼い頃の話だが、実の弟の颯より、旭の方が弱気で泣き虫の少年だったのだ。
「えっ? いえいえ全然。かわいがってもらってる方だと思います」
「そっか……。そういえば彼女ら、顔のいい男には甘いんだったっけ」
ひとりで納得し、ボソッと呟いた。小田切先生とはタイプが違うが、旭も彼女たちの好きそうな、キレイな顔立ちをしているのだ。
「でも、じゃあなんの用でここに?」
「……実はですね。愛花さんと、ご飯でも食べに行きたいなぁって」
私とご飯? ナースにはいじめられてないにしろ、やっぱり仕事の悩みでもあるのだろうか。それとも、懐かしい昔話で盛り上がりたいとか? どちらにしろ、今日のところは無理だ。
「ごめん、まだ仕事終わってないんだ。また今度ね」
「別の日ならいいんですか?」
急に目の色を変えて食いついてくる旭に、ちょっとだけ引いた。
「え? まぁ……うん」
「じゃ、連絡先教えてください! また誘いますから」
「いいけど……」