独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
この人はどうしてこう、よく当たる占い師みたいに図星を突いてくるのだろうか。見た目はただのチャラいオッサンなのに……。
「あ、今、俺にムカついてるでしょ」
「いちいち心を読まないでください!」
けらけら笑う蓮見先生とともに向かうのは、美波ちゃんの病室だ。彼女は昨日、無事に一般病棟に移ることができ、同室のおばさまたちにかわいがられている。
今日も世代を超えたガールズトークで盛り上がっているのかな、と思いつつドアを開けると、窓際の彼女のベッドの傍らに、見慣れた人物が座っていた。
「あ、姉ちゃん」
「颯! 来てくれたんだ」
美波ちゃんのオペが無事に成功した夜に私から連絡はしてあったものの、いつお見舞いに来れるのか聞いていなかったので驚いた。
思わず美波ちゃんの顔を見ると、彼女は頬を淡いピンクに染め、とっても幸せそうに笑いかけてくれた。なんだか眩しいなぁもう。
「愛花先生の弟さん?」
「はい。実はうちの弟、鴨川さんんとお付き合いしてて。颯、こちら、指導医の蓮見先生」
颯は椅子から立ち上がり、礼儀正しく頭を下げた。