独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「う……ん」
眩しい朝日に目を細めながら、医局の固いソファから身を起こした。壁の時計を見ると、六時半を過ぎたところ。
私、夕飯食べたら眠くなって寝ちゃったんだ……。
小さくあくびをしながらソファから下り、目の前のテーブルに置きっぱなしになっていた、カップラーメンの空容器を片付ける。
医局には、私以外誰もいない。昨夜は小田切先生も家に帰ったようだ。なんで、私がいない日に限って……。
相変わらずくさくさした気持ちを持て余しつつ、とりあえず家に帰ることにして帰り支度を始める。
さすがに、そろそろちゃんと話し合わなきゃ。こんな精神状態じゃ、いつか仕事にも支障をきたしてしまいそうだし……。
そんなことを考えながら病院を出て、マンションに向かおうと歩きだしたその時。肩から提げたバッグの中で、滅多に鳴らないスマホが振動しているのに気がつく。
小田切先生……?
ついそんな期待を抱いてしまうが、画面に表示されていたのは知らない番号。怪訝に思いながらも、通話をタップしてスマホを耳に当てる。
「もしもし?」
『……あ、愛花さんだぁ。おはようございま~す』
「もしかして、旭?」
『そうです。へへ、朝からごめんなさい』