独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「し……してしまった……」
純也に抱かれる自分は、自分じゃないみたいだった。
あんな格好して、あんな声出して、あんな動物みたいなこと……。
思い返しただけで鼓動が暴走して、全身が脈打つ。彼に触れられた余韻が体のあちこちに残っていて、なんだかヒリヒリする。
でも、決して恥ずかしいだけの行為じゃなかった。生まれたままの私を愛してもらうことで、確信したばかりの彼への恋心が、一気に花開いた。
「純也……」
いない時に呼んでも聞こえないのに、つい名前を口にしたくなる。まぶたを閉じれば、そこにはいつでも彼の姿が映る。
さっきまで一緒にいたのに、会いたくて、触れたくて。彼を恋しがった私の胸が、きゅ、と切なく縮む。
二十八歳にして初めての恋。私はその甘酸っぱさに浸りつつ、体が回復するまでの間、ぼんやりベッドに横たわったままでいた。