独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「嘘。ちょっとは本心でしょ?」
「いえいえ、そんなことは……」
「別に私の悪口は好きなだけ言えばいい。だけど、仕事は仕事。大嫌いな医師からの指示でも、患者さんのためにきちんと遂行してください」
三人を見渡して告げると、彼らはそれぞれに小声で、「わかりました」と頭を下げた。
よし。これで一件落着。
そう思ってふうと息を漏らしたら、不意に純也の手が肩の上にポンと乗った。
なに?と思った次の瞬間、身を屈めた彼の顔がなぜか目の前に迫っていて。
「さすがは愛花。惚れ直した」
息のかかる距離で呟いた彼は、そのまま顔を近づけてきて、私のおでこにチュッとキスをした。
ちょ、ちょっと! ここ、病院で、しかも大勢の人がいる食堂――!!
途端に顔が沸騰しそうなほど熱くなり、声も出せずに固まる私。
唇を離した純也は、目の前で呆気にとられるナースたちを見据えて言った。
「これでわかったでしょ? 俺がどれだけ彼女に惚れ込んでるのか」