独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「私、子どもの頃から勉強しかしてなかったから、こんなに思い切り遊んだの初めてかもしれないな」
「愛花……」
同情するような眼差しに見つめられ、ハッとする。私は単なる事実を告げただけであって、決して過去を嘆いているわけじゃないのだ。
「あ、でも可哀想だなんて思わないでね。一生懸命勉強したあの頃があるから、こうして純也と出会えた今があるんだもん」
そう言って彼を見上げると、純也はまるで眩しいものを見るように目を細めていた。
「俺、愛花のそういうところが好きだな」
「……そういうところって?」
「まじめに努力ができるところ。そんな自分に胸を張って生きてるところ。時々、ハッとするほど輝いて見えて、心を持っていかれる」
自分のことを事細かに分析され、思わず頬が熱くなった。私はただ、純也みたいな脳外科医になりたくて、必死なだけなんだけどな……。
「でも、褒められるとすぐ照れる」
そんな言葉とともに悪戯っぽい笑みで顔を覗き込まれ、私はますます頭に血が昇っていくのを感じる。
「……ホントにかわいい。ここで犯しちゃいたいくらい」
砂浜の真ん中でボソッと妖しげなことを呟く彼に身の危険を感じ、私は慌てて彼から距離を取り、首を横に振る。