独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「ダ、ダメ……!」
「冗談だよ。ほら、こっち来て。手を繋ぐので我慢するから」
本当かなと警戒しながら彼の隣に戻ったら、ぐいっと腰を抱かれて彼と密着させられた。
「ちょっと、手を繋ぐので我慢するって……!」
「ごめんね。暗くなってきたから、なんかよこしまな気持ちになってきちゃった」
彼は甘えるように言って、外だというのに私の頭のてっぺんにチュッとキスを落とす。
ビクッと肩を跳ねさせ上目づかいに彼を睨むと、「その目、余計に俺を煽るけどいいの?」と囁き、さらに私を慌てさせるのだった。
部屋に戻るとリビングの薔薇は花束以外すっかり片づけられていたが、代わりにお湯の張ったバスタブに薔薇の花びらが浮いていて、ホテルの完璧なサービスに感心した。
純也は当然のように一緒に入ろうと提案し、バスルームのロマンティックな光景と薔薇の香りに酔いつつ、私たちはバスタブの中で抱き合い、繋がり合う。
激しく体を揺らす私たちがお湯をあふれさせるせいで、結局花びらのほとんどはバスタブの外に流れ出てしまったけれど。
「昨日も抱いたのに……全然体が鎮まらない。愛花が好きすぎて、何度抱いても足りないよ」
「いいよ。……いっぱい、あげる」
心も体も全部さらけ出して愛し合うその時間は、とても甘く官能的で幸せなひとときだった。