独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
患者、小田切愛花のカルテ
発作時の様子:激しい頭痛に襲われた様子で、背中を丸めて呻く。嘔吐ののち、意識消失。項部硬直あり。
検査所見:頭部CTにてくも膜下腔に高吸収域を確認。MRAにて破裂した動脈瘤を確認。
診断:脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血。
再出血すれば、およそ50パーセントの確率で彼女は助からない。助けられたとしても、後遺症などを残さず日常生活に戻れる確率はさらにその三分の一。
しかし、そんなデータに気を取られて悲観的になっている場合ではない。
――愛花の命を救う。それが、最優先事項なのだから。
愛花が発作を起こした時、幸運にも小田切総合病院の近くまで来ていたこともあり、俺はそのまま自分の車で彼女を搬送した。
すぐに検査の依頼をし、脳外のスタッフたちに状況を報告。同僚である愛花が命の危機にあるという事実に皆一瞬動揺したが、すぐに頭を切り替え、オペの準備に向けて動き出した。