独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
実家訪問で周章狼狽です!
「おお、すごくレトロなお宅」
「ボロいと言っていただいて構いませんが」
「いや、俺、好きだよ。この昭和感」
週末の土曜日、ちょうどお昼の時間帯に、スーツ姿の小田切先生が我が家にやってきた。
お互い忙しいので、時間の合う時にはどんどん結婚に向けての準備を行動に移していこうと決め、まずは家族への挨拶だろうと今に至る。
しかし、数日前に私が『結婚したい人がいるんだけど』と告げた時の父や祖父の反応を思い出すと、憂鬱である。
あのふたりときたら、私の報告に年甲斐もなくはしゃいで、取っておきの日本酒で祝杯を挙げるという浮かれぶりだったのだ。
「何度も言いますが、面倒な家族ですので覚悟してくださいね」
玄関を入る前に再度小田切先生に釘を刺すが、彼はのんきに笑っている。
「愛花先生の家族なら平気でしょ」
「いや……ホント、まともなのは弟だけですから」
私はそう言いながら、ガラっと引き戸を開ける。その音を聞きつけて、廊下の奥からすぐにやかましい家族が約二名、姿を現した。