独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
その日の純也は私よりも帰りが遅く、日付が変わる頃に玄関の開く音がした。
「ただいま」
「おかえりなさい。ねえ、ちょっと話があるんだけどいい?」
「話? うん、なに?」
私は妊娠の件を報告しようと起きて待っていたので、玄関で彼を出迎え、リビングのソファに並んで座ったところで話を切りだす。
「あのね……。赤ちゃん、できました」
緊張しながらそう告げた瞬間、純也は目を見開き、それからガバッと私を抱きしめた。きついくらいの腕の力が、彼の喜びの大きさを表している。
「愛花……やったな」
「うん。でもね、ちょっと普通の妊娠と違って」
そう前置きすると、体を離した彼が途端に表情を曇らせる。
「どうした? なにかまずい状態なのか?」
「ううん、そういうわけじゃないの。ただ……赤ちゃん、双子で」
「双子!」
私がお腹をさすりながら告白すると、純也は驚愕し、しばし口を開けたまま固まった。