独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
秘密の関係は前途多難です!
小田切先生の態度に気になるものを感じつつ、週明けの月曜日には、彼のご両親にも挨拶をした。といっても、場所は院内。
院長である彼のお父様はもちろん、院長秘書をしているお母様も私たちの忙しさはよく知っているので、院長室に四人で集まり、昼休みのほんの二十分で、手短に話をした。
その場で、仕事に支障が出ないよう、院内では私たちの夫婦関係は伏せておくこと、私はそのまま早乙女の姓を名乗ることなどにも、お許しをもらった。
ご両親は、仕事にしか興味がないと思っていた息子が身を固めるということに喜びつつ、「これでうちの病院も安泰だ」と、ほんのり後継者の誕生を心待ちにしている雰囲気があった。
うちの家族ほど露骨ではないが、孫がほしい気持ちはどこの親も同じのようだ。
その辺の話題を愛想笑いでごまかしていると、小田切先生のPHSに患者急変のコールが。
ニコニコするのは苦手なので、不謹慎だが内心〝助かった〟と思い、私たちは忙しなく院長室を後にした。