独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「……まさか、ずっと隣で寝てたんですか?」
なんとなく昨夜の流れは思い出したが、彼がいつこの部屋に来てベッドに滑り込んだのかはわからないので、おそるおそる尋ねる。
小田切先生はニコッと微笑んで、私の髪を一束すくい、サラサラと肩に落とした。
「うん。愛花先生の髪から俺と同じシャンプーの香りがして、幸せだったよ」
「かっ、勝手に嗅がないでください……! っていうか、今何時ですか!? 病院……!」
「慌てなくても大丈夫。まだ五時半」
スマホの待ち受けで時間を見せられ、ホッと息をついた。
よかった……。さっき聞こえた目覚ましの音は、小田切先生がかけたものだったのかな。
「実は、早めに目覚ましかけたのには理由があってさ」
彼は話しながらベッドから腰を上げる。そしてデスクに近づくと、その上から一枚の紙を取って戻ってきた。
「これ、昨夜愛花先生が寝た後、ネットでダウンロードしたんだ。俺の方は埋めておいたから、愛花先生も自分のところをお願い」
「こ、これ……」